マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

においの記憶

今日は暑いです。

29度まで上がるとのことなので、もう意味が分かりません。

なんか無理やり、季節本来の帳尻を合わせている気がします。

花を見て来ました。

場所は家から歩いて行ける目黒雅叙園です。

そこで、10月1日より「假屋崎省吾の世界、百花繚乱」と題されたイベント展示が行われています。

展示会場の目黒雅叙園の百段階暖は、東京都の指定有形文化財です。

雅叙園のすぐ隣にはアルコタワーがあり、Amazonやマース(М&М,sチョコやスニッカーズの会社)、ディズニーなど、世界的な企業の日本支社が入っています。

雅叙園には以前一度、庭園や滝(人工ですが)を見に来たことがありましたが、展示場の百段階段は初めてです。

流石に文化財指定されるだけあって、歴史があり素晴らしい建物でした。

百段ある木造階段(実際には99段ですが)の両脇に部屋があり、そこに展示物である假屋崎氏の生け花が展示されています。

各部屋の壁や天井には、もの凄い凝った彫刻や日本画が施してあり、本当に御殿といった感じです。

ここは「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルにもなったそうです。

ただし残念なことに、どれも古いので色落ちしたり、劣化が激しいです。

しかし、逆にそれが風情がありました。

展示を見ながら、建物の雰囲気や日本家屋特有のにおいを嗅いでいると、なんともいえない懐かしさがこみあげて来ました。

父の実家の造り酒屋で庄屋だったお屋敷や、母の実家の鰹節屋の商家、親戚の豆腐屋など、日本家屋独特のにおいや、迷路のような造り、床柱の黒光りした独特の雰囲気が、非常に似ていました(もちろん彫刻や絵画はありませんが)

音楽もそういった記憶呼び覚ます効果がありますが、においの方が多くの場合において実物が伴う分、記憶が鮮明な気がします。

畳のにおいには、独特の風情があり、なんともいえない気持ちになります。

父や懐かしい人々、子供の頃の昭和の雰囲気がよみがえって来ました。

不思議なのは、私が子供の頃も、それらを見ながら、それ時代よりもずっと昔の雰囲気を感じていたのです。

もしかしたら古い建物には、昔の記憶が残されていて、ひとは無意識にそれを感じ取っているのかもしれません。

なので子どもの頃にも、なぜか自分の記憶が無い時代に対してにも、懐かしさを感じていました。

これが何を意味するのかは分かりませんし、ただの勘違いかも知れませんが、非常に興味深いことだと思います。

残念ながら私は保守的なのか、奇抜な假屋崎氏の作品には、どれもあまり共感出来なくて(迫力はありますが)、生け花に関しては、オーソドックスな華道やフラワーアレンジメント、もしくは千利休の様な一輪挿しの「わびさび」の世界観が好きだと認識させられました。

途中からは本来の展示物よりも、百段階段の建物自体に興味が尽きませんでした。