マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

現実的な手段

昨日、NHKの番組でお笑いコンビ、バイキングがロケで発見した坂本龍馬の直筆の手紙の鑑定結果を放送していました。

持ち主の父親が、30年前に美術商から1000円で購入したものだそうです。

それを高知県の龍馬記念館に持ち込んで鑑定した結果、間違いなく本物であると確認されました。

番組内での鑑定では、なんと個人の直筆の手紙では最高ランクの1500万円の価値が付いていました。

1000円が1500万円です。

15000倍になったのですから、こんな割のいい投資はありません。

といっても、この文書は持ち主から坂本龍馬記念館に寄託されるので、お金には成りません。

そもそも文化財は、人類全体の遺産ですので、金銭の問題ではなく、歴史的価値の方が重要ですし、個人の所有物になるよりは、博物館で保管された方が安全かつ有意義です。

それにいくら歴史好きでも、1500万円払って手紙を持っていたいなんて、よっぽどお金が有り余っていても普通は思わないでしょう。

しかしバブルの頃は、日本人が投資として何億円もする有名絵画を、世界中で買いあさっていたことを考えると、物凄い時代だったと感じます。

それはともかく、この手紙は、龍馬が大政奉還後に土佐藩後藤象二郎宛てに出したもので、越前(福井県)で三岡八郎に会ったたことが書かれているそうです。

龍馬は大政奉還後の新政府の財務大臣(のような役割)として、この三岡八郎を推薦しています。

岡八郎維新由利公正と名を改め、後に東京府知事にもなった人物で、龍馬とは親交が深く、龍馬が暗殺された時刻に河原の土手で突風に合い、龍馬からの手紙をおとしてしまう逸話があります(司馬遼太郎の竜馬が行くでは、竜馬の写真)

龍馬の実家は本家が才谷屋として商売をしており、彼自身も亀山社中海援隊を運営していたことから、経済に明るく、国の運営の方法やビジョンも、他の志士達とは違う視点で物を考えていました。

「討幕や政治、国防、国造りそのものが経済だ」ということを理解していた人物として、司馬さんもその部分が龍馬の凄さだと、大きく評価し、その部分をクローズアップして描いています。

昨今、龍馬はたいした人物ではないと、評価を下げるアンチ龍馬の流れがありましたが、この手紙は、彼の視点の凄さや、只者ではなかったことの証拠のひとつになると思います。

驚くべきことに、現在でも経済こそ必要不可欠かつ全ての問題の解決策に通じるという概念が理解できない人達がいることや、今でも無責任でファンタジーな主義主張をする人達が数多くいることが、とても残念でなりません。

大切なのは理想と現実のバランスであり、理想社会や夢の実現には、現実的な手法を持ってでしか、絶対に達成することは不可能です。

このプロセスは個人の人生でも、まったく同じです。

歴史上の偉人と呼ばれる政治家や軍人、科学者、経営者はみなこの原則に従って結果を出した人ばかりです。

理想だけでなく利害をもってひとを動かし、戦術よりも戦略的に最小限の被害で勝利し、捏造ではなく実験によって証明し、ひとのニーズに答えるサービスや商品を提供する。

逆に言えば、大きな結果を出す人は、時代を超えて変わらないという証明でもあります。

どういう結果を出すか、それをやるか、やらないかは、私達ひとりひとりにゆだねられています。