ラウトカ学生寮強盗事件 その12
病院から寮に戻るとずいぶん騒がしくなっていました。
警察車両が数台止まり、人があわただしく出入りしていました。
友人たちは私の帰りと無事を喜んでくれました。
語学学校を管理運営する会社の日本人スタッフも来ていて無事を喜んでくれましたが、元はと言えば会社のずさんな管理にも責任が有るので、複雑な気持ちでした。
そのあと警察の事情聴取の為、現場検証も兼ねて警察官と日本人スタッフに付き添われ自分の部屋に向かいました。
警官よりはアーミーといった感じの青とグレーの迷彩服にベレー帽の190センチ100キロ位の大男が担当で、他にも寮周辺には同じ迷彩服のK1ヘビー級のマッチョがごろごろいました。
おそらく日本で言う機動隊の様な人達が出動してくれた様です。
フィジーとは言え、建物を襲撃したのでさすがに事態を重く見たのでしょう。
この人たちが寮を警備してくれてたら今回の強盗達を簡単に撃退出来ただろうにと考えながら自分の部屋に戻ると、改めて凄い光景を見る思いでした。
ドアを壊され、床や壁に血が飛び散り、家財はめちゃくちゃ、この部屋の住人(もちろん私ですが)はよくこれで無事だったと、関心しました。
本当にひどかったです。
私のTシャツは血で染まりひどい状態でしたので、適当に他の物に着替えました。
(ちなみにこのTシャツは今でも人生の岐路で「一度拾った命」だと思い勝負に出る時のツールとして記念に保管しています)
当時私はまだ留学2ヶ月で一番下のレベルのクラスでしたので、日本人スタッフに通訳してもらいながらの事情聴取になりました。
それが終了したころに、Tシャツ半パン姿の30代くらいの見覚えのない日本人男性が入って来て、私に今回の事件を日本の家族に連絡するか尋ねられました。
領事館にはもう連絡したとのことでしたが、私は家族に心配してほしくなかったので、内緒にしておいてくれと伝えました。
その男性はそれを聞き部屋を出て行きました。
私は疑問に思い、付き添いの日本人スタッフに今の人は誰かを尋ねると、そのスタッフは今のが社長(語学学校管理の)ですと答えました。
私はあきれ返ってものが言えませんでした。
名前も身分も名乗らず、今回のお見舞いの言葉もなく、いきなり質問してきて、答えだけ聞いてさっさと出て行くなんて、なんと失礼で非常識なんだと思いました。
それまでも運営会社の対応にいろいろ不満がありましたが、あの社長にしてこの会社だと妙に納得させられました。
もしかしたら後日改めて挨拶があるかもと思っていましたが、案の定それっきりで、それ以来、心底社長とその会社が嫌いになりました。