ラウトカ学生寮強盗事件 その21
事件からちょうど1ヶ月後の8月16日に私たちはラウトカ校に戻りました。
あの時の感動と喜びは今でも忘れられません。
なんだか故郷に帰ってきたような感じがして不思議でした。
ナンディ校のナマカ周辺はリゾート地で、日本料理店やマックなども有り嬉しかったのですが、街全体に生活感があまりなく長く滞在すると飽きてきます。
しかしラウトカは人々の生活感でいっぱいで街に活気があり、生活するにはやはりこちらがいいと実感しました。
私はホームステイに変わりましたが、寮や学校の出入り口も24時間ちゃんとした若くて頼りがいのあるセキュリティーが付き柵も出来ていました。
まだ工事中でしたが、学校と寮周辺も全部フェンスで囲む作業をしていました。
毎朝学校に入るときは入り口で学生証のチェックがあり、部外者は一切校内には入れませんし、寮も同じくチェックされ寮生以外は入れなくなりました。
これなら安心して勉強や生活が出来そうです。
驚いたことに毎朝の入校チェックの時に、セキュリティーの何人かが私に握手を求めてきました。
どうやら私が強盗と戦ったことを知っているらしく、結構有名人になっていたようでした。
中には「あなたはスーパーマンだ」などと言う人もいました。
その後に来た生徒からも認知されフィジーに滞在した1年間、私は有名人になった気がしてちょっと気分が良かったです。
先生からも「将来、孫に語れる話が出来たね」と言われ、なぜ子供ではなく「孫」なのかは疑問でしたが、一生語れるエピソードには違いありません。
ただ噂には尾ひれが付くもので、その後隣のナンディ校ではラウトカ校に強盗をたった1人で全員撃退し寮を守った英雄がいると、時間の経過と共に間違った情報が広まっていたようです。
それを聞いて人の噂はいい加減で怖い物だと実感しました。
良い噂ならともかく、逆に悪い噂なら大変です。
よく「○○殺すにゃ刃物はいらぬ」などと言いますが、下手をすると悪い噂ひとつで人生を左右しかねないことも場合によってはあり得ますので本当に怖いと思います。
逆に良い噂はそれだけで見知らぬ人からでさえ好評価を得られますので、人生がイージーモードになります。
この事件の私のケースは単なる「棚ぼた」でしたが、やはり日頃の行いが一番大切なんでしょうね。