マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

ラウトカ学生寮強盗事件 その25

法廷に入ると中は意外と広くとても綺麗でした。

入った瞬間に中にいる人達に一斉に注目され一瞬たじろぎましたが、平静を装って奥へ進みました。

部屋の正面奥に裁判長席があり、40代後半位の立派な体格の男性裁判官が1人座っておられました。

裁判長席は他より少し高くなっていました。

その前に広い空間があり2人の若い女性が立ち、裁判官から見て右側に被告の2人が並んで立ち、その前に講演会などで使われる演台が置かれていました。

反対の左側には証言者の立つ場所が用意され、そこにも演台が置かれておりその横には1人のフィジアン男性が立っていました。

この男性は先日の打ち合わせの時に説明の有った通訳の男性かと思われます。

部屋の後ろは傍聴席になっていて木製の長椅子が何列か置かれていました。

そこには先に証人尋問の終わった友人たちが座っているのみで、他には誰も座っていません。

あとは被告を護送した警官数名が入口付近に立っているのみでした。

小さな裁判なので傍聴人や記者がいないのは当たり前ですが、それでも法廷内はとても厳粛な雰囲気に包まれていました。

記者で思い出しましたが、事件は新聞の記事になり日本人に怪我人が出たことやラウトカ校が一時閉鎖され寮生がナンディに避難したことなどが、当時報道されました。

事件の次の日はごたごたで、その新聞が手に入りませんでした。

あれば記念になったので悔やまれます。

それはともかく裁判官の前に立つ2人の女性の内の1人は打ち合わせの時のあの検事さんでした。

彼女と目が合うと証言台に行くように促されました。

彼女は中にいる人たちで友人を除くと唯一知っている人なので、それだけで少し落ち着きました。

証言台に立つとまず宣誓書を読み上げる様に指示されました。

証言台には宣誓書と聖書が置かれ、打ち合わせで指示があった通り右手を聖書に当てながら宣誓書をゆっくりと読み上げました。

内容は正確には憶えておりませんが、「神の名のもとに真実だけを語ることを誓います」といったような内容でした。

この時が緊張のピークだったと思います。

宣誓書といってもコピー用紙に手書きで書かれた文章が書かれており、タイピングもされていませんでしたので以外でした。

聖書についてはカトリックの国なので欧米などと同じく宣誓には欠かせないアイテムなのは分かりますが、フィジーはインド系も多く彼らの多くはヒンズーやイスラム教徒なので、彼らにも聖書に誓わせるのか少し疑問に思いました。

私はいわゆる「大いなる存在(神)」は信じていますが、基本的には多くの日本人と同じく冠婚葬祭位しか宗教にかかわりませんし、別段こだわりもないので聖書の宣誓はまったく問題ありませんでした。

宣誓が終わるとほっとして不思議と少し落ち着きが出ました。