マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

ラウトカ学生寮強盗事件 その24

当日、同じメンバーが裁判所に集まりました。

今回は付き添いの管理会社のスタッフはいません。

私たちは全員、前回の打ち合わせで指示された通り、正装という意味での「ブラシャツ」を着て行きました。

「ブラシャツ」と言うのは、いわゆる「アロハシャツ」の事で、フィジー語で「Bula」は「こんにちは」です。

なのでどちらも日本語では「こんにちはシャツ」と言うことになります。

沖縄でもそうですが、南国ではスーツにネクタイでは暑いのでアロハシャツでも略式正装扱いです。

もっともフィジーには独自のスタイルがあり、「スル」と言われるスカートを男性が履いて上にYシャツネクタイが本当の正装です。

「スル」はフィジーの民族衣装で、いわゆる巻きスカートです。

女性用は色や柄がカラフルですが、男性用のフォーマルなものはスラックスをスカートに仕立てた様な感じで男性が履いても以外と違和感がありません。

これは私もお気に入りで、滞在中は2,3日に1回はこの「スル」を履いて過ごしていました。

日本では罰ゲームか女装趣味でもない限りスカートを履く機会なんてありませんので、とても貴重な体験でした。

下に履くものまで指示はなかったのですが、一応私はスルを履いて行きました。

裁判所の中に入り来訪目的を伝えると、法廷の部屋の前まで案内され、ここで呼ばれるまで待機するように伝えられました。

しばらくして警官達に護送された若いフィジアン男性2名が現れ、法廷内に入って行きました。

ちらっと顔を見ましたが、事件当時は夜でしたし、しかも彼らは全員マスクをしていたので2人ともまったく覚えがありません。

彼らの雰囲気も凶悪な感じではなく、どこにでもいそうな普通の人に見えました。

しかし彼らには間違いないので、私の中に強い戦慄とあの時の記憶がよみがえりました。

以外にも彼らの服装もスルにブラシャツでした。

以前に街で囚人が作業しているのを見た時はアメリカと同じくオレンジ色のつなぎの様な物を着ていましたが、今は違うようです。

もしかしたら最近は日本でもそうですが、被告と言えども法廷では私服でも良いのかもしれません。

彼らの裁判は過去にも何回か行われており、今回は被害者の証言を聞くのが目的だそうです。

少しして開廷したのか、中から声が聞こえて来ます。

この中に一人ずつ順番に呼ばれて入り、しかも事件の詳細を証言しなければならないと思うと嫌が上にも緊張します。

そして最初の1人が呼び出されました。

中を覗くことは出来ませんが、質問や友人の証言している声が聞こえて来ます。

1人でせいぜい5,6分と言った所でしょうか、しかし待っている時間はとても長く感じられました。

何より次に誰が呼ばれるのかが分かりませんのでドキドキです。

ひとり、またひとりと呼ばれ、出て来た人はみんな緊張して上手く証言できなかったと言っていました。

私は一番の被害者なのでなんとなく最後になる予感はありましたが、予想通り最後になって呼ばれました。

待ち時間が長かったのと、出てきた人の話を聞いて少しは落ち着いていましたし、まだ若い他のメンバーと違い自分は当時35歳の「いい大人」でしたので、しっかりしなければと言う思いと同時に、私の証言で被告の判決にも影響があると思うと背筋が伸びる思いでした。

そして警官に促されながら私は中に入りました。