アンパンマン
先日「それゆけアンパンマン」の原作者で、漫画家の「やなせたかしさん」が、亡くなられました。
94歳でした。
私がアンパンマンを知ったのは、幼稚園の授業で先生が読んでくれた絵本でした。
当時(約35年前)は、純粋な絵本だけで、まだアニメ化もされていません。
ネットで検索しましたが、久しぶりに見た当時のアンパンマンは、今より手足が長く、もっと人っぽい感じで、絵もなんだか野暮ったいものです。
お腹をすかせた人に、自分の頭を差し出して食べてもらうヒーロー。
頭が半分になったヒーローが去って行く姿は、子供ながらに奇妙で、そこはかとない寂しさを感じました。
自分の身をかえりみないで人を救う姿勢、そこには強烈なインパクトがありました。
幼稚園児の私は、自己犠牲と言う言葉を、勿論知りませんでしたが、もしかすると初めて見た自己犠牲のシーンだったのかもしれません。
そして、それから10年ほど後、私が中学生になったころにアニメ化され、現在に至っています。
私はこのアニメの主題歌「アンパンマンのマーチ」が、大好きです。
昔からなんとなく耳についていましたし、特に歌詞が素晴らしいと思っていました。
「何が君の幸せ?何をして喜ぶ?分からないまま終わる、そんなのはいやだ!」
まだ若いころ、自分の将来について考えていると、何故かこの曲が頭の中で響くのです。
「なぜこんな時に、子供のアニメソングが?」当時は、とても不思議で可笑しく感じました。
しかし私の潜在意識は、この歌詞に深く共感していたのでしょう。
調べると、作詞を原作者のやなせさんが担当し、作曲が名作曲家の三木たかしさんが担当でした。
これには、納得です。
名曲だと思います。
なので今でも私にとってのアンパンマンは、この「アンパンマンのマーチ」です。
やなせさんは、最近になってメディアに出演される機会が増え、そこで初めてご本人を見ましたが、高齢なのにお元気で、素晴らしい方だなと思っておりました。
しかし若いころは鳴かず飛ばずで、50代になってやっとアンパンマンが生まれ、60代の終わりでアニメ化してブレイクしました。
大器晩成、終わり良ければ全てよしとは言いますが、なんとも長い道のりです。
若いころ中国大陸で従軍され、その過酷な戦争体験が、アンパンマン誕生の背景にあったそうです。
人は常に時代や社会に翻弄され、人生にその影響をもろに受けます。
長い不景気、雇用の不安定化、少子高齢化、ネット社会の到来。
まだ若い現役世代も戦争体験程ではないにせよ、社会から受ける影響は計り知れません。
過酷な体験も素晴らしい物に変化させられる。
どんな経験でも、生かす方法はある。
何歳になっても成功できる。
それはすべて本人の考え方と行動次第。
やなせさんの生涯は、それを物語っているように思えます。
私も自分の経験を生かして、素晴らしい人生を創造したいです。