キャラ弁
以前からネットなどで、アニメなどのキャラクターをかたどったおにぎりやおかずを入れた、いわゆる「キャラ弁」なるものが、流行っていると紹介されているのを、時々見かけていましたが、最近の幼稚園や保育園では、このキャラ弁を不衛生や栄養面での偏りを問題視して禁止するところが多いという記事を見かけました。
何でもそうですが、「禁止」しなければならないという事態は、相当数ないと起こりえないので、こんな手の込んだお弁当を作ってくれる親御さんが、実際に結構いらっしゃる事に驚きました。
正直キャラ弁なんて、ごく少数の手先が器用で、暇な人が遊びでやっている程度だと思っていましたので、凄く意外です。
夫婦共働きが多く、忙しい家庭が多い中、それでも日本のお母さん方(中にはお父さんも)は、お子さんに細やかな愛情を注いでいるのだなと、ほほえましくもあり、嬉しい気持ちにもなります。
私が思うに、おそらく幼稚園や保育園側の、不衛生や栄養面での偏りなどと言う主張は、事実でもあるのでしょうが、ほとんどは単なる口実で、実際にはキャラ弁を作ってもらえない子供たちへの配慮や、子供たち同士の人間関係、エスカレートするデコレーション、作れない親御さんからの苦情などを考慮した結果ではなかろうかと思います。
そういえば、昔の小学校の運動会では、昼食はみんな親御さんと御座を広げてお弁当を食べていたそうです。
ところが母子家庭への配慮などで、給食になったと先生に聞いたことがあります。
私の学校では(30年以上前)は、すでに給食でしたが、いつもとは違う特別なメニューでした。
菓子パンだったり、牛乳がコーヒー牛乳だったりして、嬉しかった記憶があります。
特に冷凍ミカンが毎年付くので、小学6年間の楽しみのひとつでした。
何にせよ、なぜ運動会が給食なのかを知った時には、子供心にも、お弁当が無い子が可愛そうだとか、それなら仕方がないといった感想を持ちました。
「弱者は守らなければならない」日本は昔から全体的にそういう教育だったと思います。
その気持ちが、震災などの時にも発揮され、世界から称賛される気質を育んだとも言えますが、反面、行き過ぎた全体主義を作ってしまう傾向もあり、個性を伸ばし辛い、出る杭は打たれる社会を作ってしまいがちです。
その辺りはジレンマもありますが、日本文化の美質なのでしょう。
それはともかく、タコさんウインナー程度しか無かった昔に比べ、お弁当も随分と進化したものです。
最近ではアニメなどの影響で、海外でも日本のお弁当が人気があるらしく、時代は
変わったんだと思います。
もう30年程前のドラマで「ライスカレー」というのがありました。
夢を抱いてカナダに移住した日本の若者たちの物語でしたが、その中で古谷一行さんが演じる移住した日本のお父さんの小学生の息子が、カナダの学校でランチタイムに日本のお弁当をからかわれ、お母さんにみんなと同じピーナッツバターのサンドウィッチとリンゴまるごと一個の様な、現地の定番ランチにしてくれと言うシーンが思い出されます。
当時、日本文化はかっこ悪いもの、逆に西洋文化はかっこいい、という間違った刷り込みがあったので、私は同い年くらいのドラマの小学生の気持ちに共感してしまいましたが、あのシーンは今だと、学校にキャラ弁を持って行って、あの子は一躍ヒーローになったかもしれません。
アメリカの学校ではスナック菓子が買えたり、映像などで給食を見ても本当にロクな物を食べていないと思います。
昔はそれが羨ましかったりもしましたが、今では日本人に生まれて本当に幸せだったと感じます。
食文化の豊かさは、日本の誇りです。
最近はマクドナルドも不振だそうですし、和食は世界からも称賛されています。
大きい意味では、キャラ弁も日本の食文化の素晴らしさのひとつだと思います。