マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

ラウトカ学生寮強盗事件 その27

検事さんの質問の間、私の前の空間を挟んで被告人の証言台があり、そこに2人の被告が立っていましたので、自然とそちらに目が行く事が多く、彼らの行動を何気に見ていました。

彼らは私が答えている間、時々メモを取っていました。

それが何なのか気になりつつ質問に答えていると、あることに気が付きました。

検事さんの質問が部屋に入って来た強盗と私が格闘した話に及ぶと、被告人の1人の顔色が明らかに変わったのです。

彼は大きく目を見開きおびえた様な目で、何度もこちらをうかがって来ました。

「急にどうしたんだろう」とけげんに思いつつ答弁を続けていると、彼の目を見ているうちに段々記憶がよみがえって来ました。

「うん?この目、どっかで見覚えがあるな・・・そうや!あの時の犯人や!」

目の前の2人は間違いなく5人の犯人グループの2人には間違いないのでしょうが、誰も見覚えが無くそれまでは何も実感がありませんでした。

しかし私は彼の目を見て確信しました。

彼は部屋に侵入してきた2人のうち、私が取り押さえた方の男でした。

私が男の首に腕をまわして押さえつけ、モンキーレンチを振りかざした時、両目を見開きおびえた目でこちらを見ていたのを、はっきりと思い出したのです。

今まさにその時と同じ目つきで、私の顔をうかがっています。

その時初めて目の前の男達があの時の連中だと実感するのと同時に、怒りが込み上げて来ました。

しかし、もう1人は背格好からして、あの時私にナタを振るった人物ではない様でした。

あの時の人物は長身で、172cmの私がかなり見上げる位の身長(おそらく185cm以上)でしたが、目の前の被告は2人共せいぜい175~8cm位でしたのでフィジーではごく平均的な身長だと思われます。

私が捕まえた男は私とそんなに身長差がありませんでしたので、1人は彼で間違いないと思います。

それにしても当時、相手はマスクをしていて目しか見ていないのにもかかわらず、人物を見分ける事が出来てしまうのは不思議です。

昔見たTV番組で指名手配犯を追う刑事さんが、人は整形しても、変装しても、年齢を重ねても「眼」だけは変わらないので、必ず見分けが付くとおっしゃっていましたが、あれは本当だと思いました。

本当に人間の能力は計り知れません。

検事さんの質問が終わり、いよいよ被告人の質問に移りました。

彼らが何を聞いて来るのか、特に「彼」が何をどう反応するのか、非常に興味を持って質問を待ちました。