一期一会
今日から11月です。
今から丁度2年前の今日、私の友人が亡くなりました。
彼はまだ若く、享年31歳でした。
数日連絡が付かないので、彼の兄が1人暮らしの彼のマンションまで見に行くと、すでに亡くなっていたそうです。
死因は、はっきりとは教えて頂けませんでしたが、私の知る限りでは特に持病もなく、健康そのものでしたので、断定は出来ませんが、もしかすると自分で命を絶ったのかもしれません。
彼は精神的に不安定で、そういう危なっかしさがありました。
彼とは留学先で知り合い、他の仲間たちと一緒に旅行に行ったり、学校のイベントで馬鹿騒ぎをしたりと、ずいぶん楽しい思い出を共有することが出来ました。
帰国後も私の部屋に泊まりに来てくれたり、他の仲間も交え富士山に登ったり、悩みの相談に乗ったりと、5歳年下の彼は、私にとって素敵な「友人」であり、そして「弟」の様な存在でした。
彼はとても純粋で、善良で、誠実で、歳不相応な不器用さと生真面目さで、常に人と接していました。
なのでとても傷つきやすく、悩みやすく、ネガティブで落ち込みやすく、それが危なっかしくて放って置けない存在でした。
私はそんな彼が大好きでしたし、将来が楽しみでした。
彼の兄はとても優秀で、彼はそんな兄に憧れるのと同時に、強いコンプレックスを感じており、自分と兄を比較して苦しんでいました。
そんな境遇も自分に似ているので、彼に同情や共感もしていました。
そして、なんとかネガティブな彼を引き上げて、自信を持って欲しくて励ましたり、ポジティブになれるように、参考になればと、自分の過去の経験や失敗などを話しました。
不器用だからこそ、今がだめでもこの先きっと素晴らしく成長すると思いましたし、本当に沢山いい物を持った青年でした。
しかし、突然亡くなってしまったのです。
葬儀は身内だけの密葬で、親族以外は私たち留学時の友人数人のみで、とても寂しいものでした。
命日もはっきり分からないので、便宜的に11月1日にしています。
葬儀の時、喪主の彼の父親があいさつで、「彼に友人はいないと思っていましたが、留学していい友達が出来て彼は幸せだったと思います。」「今はそれがせめてもの慰めです。」とおっしゃっていました。
今でも本当に残念です。
しかし、彼と過ごした時間は、彼だけでなく、私にとっても本当に素晴らしい時間でした。
人生は「一期一会」だと言いますが、最近本当にそうだと思います。
日々に追われ、あまりに身近過ぎて、様々な幸せを見失いがちですが、失い、振り返って気付くことも多いです。
「今を大切にする」「人生に明日があるとは限らない」
彼の死はそれを教えてくれました。
彼の人生は十分輝いていたと思います。
素敵な思い出をくれた彼に、本当に感謝しています。