マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

自由な監督

やっと暖かくなったと思ったら、また冬に逆戻りです。

もう三月とはいえ、この季節は油断しているとすぐ体調を崩すので注意が必要です。

今朝、かなり体調も良いので、久しぶりに林試の森に走りに行ったら、たぶん梅と思われる綺麗な桃色の花が咲き誇っていました。

気になって帰宅後調べてみると、なんと「河津桜」という早咲きの品種で、立派な「さくら」でした。

世間では、「ソメイヨシノ」ばかりもてはやされていますが、こういう早咲きの花も嬉しいものです。

まだ寒い中でも、あともう少し我慢すれば春が来ると、希望を与えてくれます。

来月の今頃には、家の前の「かむろ坂」にも、桜が咲き誇っていると想像すると嬉しくなります。

昨日、撮りためておいた映画の中から「風立ちぬ」を見ました。

話題となった宮崎駿監督の引退作品ですが、2013年7月公開なので、早いものです。

ゼロ戦の設計者の堀越二郎氏をモデルに、堀辰雄氏の小説「風立ちぬ」と組み合わせて書かれた作品だそうです。

見終わった感想としては、「あっさりしているな」というか、「そんなんでいいの」みたいな感じです。

ただ随所に、これまでの宮崎作品のオマージュといったシーンがいくつも見られ、これはファンサービスなのか、アイデア枯渇の手抜きなのか分かりませんが、この辺りは引退を宣言した彼の歴史ある作品群の集大成なのかもしれません。

それと映像の美しさは流石だと思いました。

私が思うに宮崎さんの本領は、社会に問題提起をする巨匠監督ではなく、演出や映像美で見せる技巧派の監督ではないかと思います。

純粋なエンターテイメントとしての作品の方が、私は好きです。

初監督作品の「カリオストロの城」(79年)から、「紅の豚」(92年)までの13年が、それに当たると思います。

その後の「もののけ姫」は、大ヒットしましたし、「千と千尋の神隠し」など、その後の作品は、巨匠としての申し分ない結果と評価を得ていますが、なんとなくメッセージ性が強く、説教臭くて個人的にはそれほど好きではありません。

ハウルの城」は見ていませんし、「ポニョ」は自由すぎて唖然としました(でも嫌いではないです)

今回の「風立ちぬ」を見ても分かるのですが、なんだかんだ言ってもこの人は、兵器が好きなんだと思います。

作品内には、世界初の空母「鳳翔」や戦艦「長門」、米軍に「ワンショットライター」と揶揄される「一式陸攻」の試作機と思われる機体も登場します(肝心のゼロ戦は最後にほんの少しだけですが)

兵器を作らされたエンジニアの不幸なのか、才能をいかんなく発揮出来た幸福なのか、とらえ方はいろいろですが、単純に反戦でもなく、肯定も否定もしていないし、その時代をそれぞれの立場で必死に生きた人々を描き、「あとの判断はお任せします」みたいな感じが、私の感想の「あっさり」に繋がったのかもしれません。

そういう意味では、前作の「ポニョ」に引き続き、割と自由に描かれた作品なのかもしれません。

それと主人公を演じた庵野監督の演技は、意外と良かったです。

庵野さんも、まさか自分がとは思いもよらなかったでしょうし、人生何がおこるか分からない見本だと思います(ここにも自由さが出ています)

もしかしたら、この「自由さ」こそが最大の問題提起なのかもしれません。

全てを手に入れ、もう怖い物がない状態(ある意味「解脱した」)の宮崎さんなので、引退なんて言わず、短編でいいので、これからもまったく何物にもとらわれず、自由な作品を描いてほしいです。