マサオのブログ

よもやま話ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

ラウトカ学生寮強盗事件 その4

私は4年前、南太平洋のフィジー共和国で1年間語学留学をしていました。

そこで沢山の貴重な体験をしましたが、その中でも一番印象に残っている、ある事件について書いています。

 

夜8時ごろ、夕食の後片付けが終わり、自分の個室でくつろいでいました。

不意に外から女性の悲鳴が聞こえ、あわてて窓の外を見ると数人のフィジー人がマスクをし、手にナタを持って、外にいた生徒数人を一か所に集めているところでした。

「ついに、恐れていたことが起きてしまった・・・」

私は一瞬呆然としましたが、すぐさま部屋の電気を消して部屋のドアのカギをかけ、外の様子をうかがいました。

「いったい何人いるんだろう」「恐らく10人以上で来ているに違いない」そう思いながら窓の外を見ましたが、私の部屋は建物の端の方にあり、すぐ隣の校舎側と中庭以外は良く見えません。

しかも防犯のための鉄格子が邪魔になり窓から外に顔を出すこともできません。

(フィジー人は木登りが得意なので、2Fでも通常鉄格子がはめられています)

庭に集められている数人の生徒は、特に危害を加えられている様子もありませんでしたので安心しましたが、彼らの目的は金品の強奪なので、寮内に侵入してくるのは明白でした。

寮の扉は2重になっており、内側が木製のドアで、外側が金網のドアでした。

寮内には階段はなく、下に降りるにはドアを出て外にある階段を降りなければならないため、消灯する11時ごろまでは、いちいち出入りが面倒なので、外の金網は空けられたままでした。

やがてドーン、ドーンと1階から木のドアを、ハンマーか何かで叩くものすごい音が響いて来ました。

1階からは悲鳴や怒号が聞こえて来ます。

「1階はすでに侵入されたかもしれない」「やばい!すぐさま金網を閉めないと2階も侵入されてしまう」と思い部屋の外に出ようとしましたが、2階の木のドアもハンマーで叩く音が聞こえて来ました。

もう間に合わないと思い、仕方がないので再び部屋に戻り鍵を閉めました。

相手はナタを持っているので、部屋に侵入された時に備え何か武器を探しました。

包丁がありましたが、相手を殺傷したり、逆に奪われてこちらがやられてしまう危険があるので、包丁はベッドの下に隠しました。

他には目ぼしい物はなく、自転車(マウンテンバイクを現地で買い、盗まれるので部屋の中に置いていました)用に買ったモンキーレンチを見つけましたので、それを短パンのポケットに入れました。

もう一度外を見ると、例の頼りない警備員が、警棒で強盗に立ち向かっているのが見えましたが、長身の強盗が振り下ろすナタを受け、明らかに逃げ腰になりながら後退していくのが見えました。

複数回ドアを叩く音の後、ついに2階の外のドアが開く音がしました。

長々と書いていますが、ここまで最初の悲鳴からわずか2~3分の出来事です。

当時2階の男子寮は、ドアから両脇に3部屋づつの6部屋あり、全部個室で2部屋は空き部屋でした。

女子寮とはボードで仕切られ互いに行き来が出来ません。

私を含め4人しかいない状況でしかも1人は旅行に行って留守でした。

私のほか2人いるはずですが、彼らもいるのかいないのかもわかりません。

強盗が個室のドアを叩く音が聞こえて来ました。

大体2,3回で開く音が聞こえ中を荒らしているようです。

悲鳴などは聞こえないので中は留守なのか、すぐにその隣のドアを叩きだしました。

次の部屋も開いたらしく、悲鳴が聞こえましたが、どうやら数人でドアを抑えて侵入を防いでいるようです。

諦めたのか、次のドアを叩きはじめました。

どんどんドアを開いて行き、強盗たちはついに私のドアを叩きはじめました。

この時の恐怖は、今でも上手く言い表せません。

私は必死でドアを抑えましたが、2、3回叩かれただけで、ドアノブが壊れました。

そしてついに部屋に強盗が侵入してきました・・・