ラウトカ学生寮強盗事件 その7
強盗が出て行ってほっとしましたが、すぐに我に返りました。
頭の傷の状態が心配だったからです。
まず起き上がって部屋の明かりをつけました。
部屋はめちゃくちゃになっていました。
床は物がひっくり返って散乱し、木製のドアは破られ、ノブが外れており、大きな穴が開いていました。
手には血がべっとりと付いていて、傷口からは相変わらずどんどん血が流れているので、じっとしていると床には血だまりが出来るほどでした。
幸い動脈は切っていないらしく、鮮血が飛び散って今にも命にかかわる状態ではない事は分かりましたが、それでも早く止血しなければなりません。
傷口にタオルを押し当てましたが、血が止まりません。
いつの間にか外からは悲鳴や怒号、ドアを破壊する音は無くなり静かになっている事に気づきました。
私は部屋を出ました。
廊下に出ると各個室のドアが壊され、中も荒らされてた跡が見えました。
床には強盗が捨てて行った長さ5~60cm位の大きな木の杭がありました。
おそらくこれでドアを破壊して回ったのでしょう。
外に出て階段を下りると、1階の男子生徒達が外に出ていました。
もう強盗たちは去ったようでした。
彼らは私の様子を見て驚き、すぐにキッチンに連れて行ってくれました。
そこで手の血を洗いましたが、頭からの流血は止まりませんでした。
彼らに状況を聞くと、1階はみんなで協力してドアを抑えたため、侵入されずに済んだそうでした。
私の出血を見て生徒の一人がタクシーを呼んでくれたので、私はその生徒に付き添われすぐ近くの病院に行くことになりました。